素材選びから始まる、琵琶の音作り

トークイベント

琵琶制作・奏者の大箸鶴鵬さんをお迎えして、木の素材による、音の違い/接着剤としての膠(にかわ)と漆の違い/弦に使われた素材についてをテーマに登呂遺跡出土の漆を施した木琴の復元の可能性を考えます。

大橋鶴鵬(おおはしかくほう): 琵琶制作・奏者。薩摩琵琶正派の中村鶴朔氏に師事。1996年より掛川市大東図書館など各地で琵琶を展示。1998年にはアメリカのメトロポリタン美術館楽器コレクション部門に薩摩琵琶収蔵。

開催日時2017年2月26日(日)
13:30〜15:30
会場静岡市立登呂博物館1階 多目的ホール
定員40名
参加費500円
対象どなたでも
吉成 琴絵

アートロでは色んな琴ができそうだなぁ、と感じました。

トークがはじまる前、登呂博の館長と大橋さん、本原さん、長坂さん、中沢さん、清水さん、私で展示を見てまわりました。深い解説や考察が飛び交う、貴重な意見交換の場となっていました。大橋さんは、出土品の木材が、年輪の詰まったきれいな柾目であることなど、琴以外にも関心を持たれてました。

琴の弦については、文献を見ても、現時点でははっきりわからない。漆を施した…というのも、定かでない。ということが発覚。わからないことが多い中、それだけに色々な可能性が広がりました。わからないのは弦の種類だけでなく、弦と板の間にはさむ部品。(琴柱というそうです)展示品は今の琴のような木の部品をあてがってあるけれど、石ころとか、自分の手だったかも?と本原さん。本に載っている琴を弾くはにわのポーズは、何かを示しているのか??弥生時代は森が遥かに豊かだっただろうから、野生の蚕もいて、絹を作ってたかもしれない、と大橋さん。色んな弦が張ってあってもいい、と長坂さん。家々で、色んな琴を作って弾いていたのかも。アートロの皆さんが自由に琴を作ったら、楽しそう!

その後、大橋さんのトークがありました。琵琶の歴史、派生、種類、つくりなどなど…専門的な話がたくさん。とにかく大橋さんの琵琶に対する熱量、ものへの熱心な姿勢、探究心を感じるお話でした。武士が琵琶を弾いている時に敵に襲われたら、バチを手裏剣がわりに使ったそうです。楽器って、ご飯と違って、いらないと思う人にはいらないものかもしれないけれど、確かに必要とされ、大切にされてきたものなんだ!と再認識できました。

木材についての話もあって、いろんな木の板を見比べた中に、漆の木もありました。大橋さんが枯らしてしまった漆の木を見た時、何かに使えそう!と感じて板にしたそうです。黄色くて不思議な感じのする板でした。
お話の雰囲気とは一変、ロックテイストで渋い琵琶演奏もたっぷり聴かせていただきました。薩摩琵琶は打楽器としての側面もあるそうです。木を何ヶ月もかけて無理やり曲げたことで強い張りを持っている琵琶を、つげでできた硬質なバチで弾くと、とても緊張感のある響きとなっていました。声もとても素敵でした。その後4本の琵琶をまわして(!)それぞれ触ってみました。張り張りの薩摩琵琶のあと平らな平家琵琶をはじくと、なんだかまったり。盲僧琵琶はとっても軽くて、バチもぶ厚くてこれが琵琶?という感じだけど、ちゃんと鳴るしこれもまたいい音だったり。

音を鳴らすには、とにかく弦を張って弾けばいい。材の違いや形の違いによって変わるのは、音色や響きで、これは何がいいとかではなくて、好みや個性の話のようです。アートロでは色んな琴ができそうだなぁ、と感じました。わくわく。(レポート 吉成琴絵)